激安振れ取り台を買ってみた

タイヤの振れなんて、スポーツ量販店で完成車をフツーに買って、フツーに街中走る程度なら、
こんな症状気にも留めないし、お目にかかることなんて、まずないし。

ところが、MTB を所有しちゃたりすると、
オフロードがあると思わず走ってみたり、
ちょっとした段差があると落ちてみたり、
ホッピングやバニーホップのまねごとしてみたり、
ママチャリじゃやらなかったことを、やりたくなる。やってしまうワケよ。
まさに、MTBあるある。wwww
んでもって、ホイールを歪めちゃったりするワケだ。号泣

タイヤが振れているって状況は、まったくをもってよろしくない。
走行の効率を落とし、長距離を走れなくなるのはもちろん、
最悪、スポークの破断によるホイールの損壊って恐れもある。

そんなこと知ってしまうと、タイヤが左右にぐにゃぐにゃと振れている様は、
もうね、気が気でないでないワケで、ストレス以外の何物でもありゃしない。

救いと心の平穏を求め、某プロショップに依頼したのだが、
ホイールの振れはなぜか習慣化してしまう。

原因や要因も追求できぬまま、
何度もショップに持ち込む状況ってのは、さすがに納得できない。
つーことで、ホイールの振れ取りに手を染めちゃたワケよ。


この行為は人柱?それとも…..

これまでどーやって振れ取りしてたかてーと、
ちょっとした横振れ程度なら自転車を逆さまに、
本腰を入れる際は、以前記事にもしたディスプレイスタンドにこんな自作の治具(検査器?)で振れ取りしてた。

自作振れ取り台
制作費は、三脚除けば、家に転がってたL 字の金具に、ねじサイズ 1/4”-20 の Tナットと、M6のボルトとナットで作ったもの。数百円程度。


スタンドと治具を固定さえできれば。
これでどうにか出来るモンである。

改めて見ると、我ながらムチャなコトやってんなと思わずにはいられないが、
どうせ買うなら、Parktools 製とかの信頼できるモノが欲しかったし、
だからといって5〜6,000 円位が相場の激安振れ取り台なんて、
とても手を出す気にはなれなかった。(理由はあとで)

と・こ・ろ・が、だ。
今回購入したコイツ。当時の価格は税込み 2,780 円。
この金額なら、使いモンにならなくても腹も立たないだろうし、
Amazonのタイムセール対象商品だったってこともあるが、
こんな金額、2度とないだろうってことで、買うことに。

振れ取り台
折り畳んだ状態の振れ取り台。「出先で振れ取りできるコンパクト設計」とか商品説明に書いてあったが、出先で振れ取りなんかしないって、フツー。wwww

使いモンにならない(と思っている)製品を何故買うのか?

決まってるさ、このブログネタのタメさっ wwwwww


まずは細部の構造から見てみる

そもそも振れ取り台に求められる機能として

  1. 高速でホイールを回しても、ホイールそのものがズレたり、ブレたりしないこと
  2. いろんなハブ、リムに対応できること
  3. 測定値が信用できること

これら3つの要因を満たしているならば機材として信用できる。
精度が高ければ信頼もできうようというモノ。

そんな評価基準でこの激安振れ取り台を計るのはいささか酷なのかも知れないが、
いかなる道具も使えない道具はゴミでしかない。
要はどこまで使えるか、を見極めることが狙い。

「高速でホイールを回しても、ホイールそのものがズレたり、ブレたりしないか」

振れ取り台

ま、無理だわなwww。
見るからに無理、重さも2kg 未満だし。

ホイールバランスを測定しようと思わなければ、高速で廻す必要もないし、
どうしても動かないようにしたいなら、クランプか万力で固定すればいいワケだし。
我慢出来んこともないか。

「いろんなハブ、リムに対応できるか」

この点は「一応だが」対応している。

振れ取り台のハブホルダー
回転させることで幅を調製できるハブホルダー。そもそもプラスチックなので、精度なんか求めべくもない。

ハブの軸を受ける部分はU字になっており、直径は約9mm。
クイックリリースの軸が丁度収まるサイズ。よってスルーアクセルには未対応。ボクには関係ないか www。

ハブを固定する部分は、回転させることで幅を100 mm、135 mmに変更できるので、
フロント、リアどちらにも対応ワケだが、
そもそも剛性がないこの機具、平気でプラスマイナス10 mmぐらいは歪ませることができたりする。
ん〜、これならどんなハブでも対応できるし安心だね、
って、オイオイ

「測定値が信用できること」

で。最後に一番重要な点だが
もうね、ツッコミどころ満載。つか、狙ってボケてるとすら思えてくる。

まず、左右のピンによる「ヨコ振れ測定ゲージ」は、明らかにズレている。
しかも、ちょっと触れただけでスムーズに動く、スッルスルのスッカスカ。

目盛の入っている「タテ振れ測定ゲージ」にいたっては、左右、上下方向ともに片がっているから、
ヨコ振れ測定ゲージにはもちろん、リムに対しても垂直に位置していない。

トドメは、これらを支えているアームが重さに耐えられず、徐々に下がりだし、
同様にゲージ部分も自然にタレ下がってくる。

測定してる間に、すべてのゲージが動き出すって、
これでどうやって振れ取りしろと?

一点にあわさることのない「ヨコ振れ測定ゲージ」。あ〜あ。
激安振れ取り台
ゲージを支えるアームは、時間がたつと下がってくる。かなりキツくネジを締め込めばいいだけだが…。

コイツがここまでテキトーなヤツだとは。
予想を遙かに超えくるナイスなヤツ。wwww。
ま、そんなことは購入前から分かってたつもりだったけど、ここまでくると、もう笑うしかない。

コイツもそうだが、1万程度の振れ取り台を、手を出さなかったのには理由がある。
このクラスの振れ取り台には、測定値を適正に保つ「校正器」が付いていない。
つまり、ホイールのセンターが測れないので、リムセンターゲージの所有が必須ってコトになる。

ホイールのセンターを測れない振れ取り台なんざ、
「目盛のない物差し」同然。便利な道具であるハズがない。
コレが理由。


DIYの精神で、コイツを使えるようにする!

振れ取りの度に自転車をひっくり返すってのは、
場所を取るし、決して楽な姿勢で作業ができるワケじゃない。

ホイールのセンター出しは、リムセンターゲージを使うとして、
何とか使えるように改造を施すことに。

まずは、ヨコ振れ測定ゲージの軸に、
カーボン製のシートポストやクランプに塗布するカーボングリスを使う。
このむちゃくちゃ粘度の高いこのグリスで滑りにくくし、動きを抑制するつーわけだ。

ヨコ振れ測定ゲージ
ヨコ振れ測定ゲージのピンとカーボングリス。そもそも左右連動せず、独立して動くってこと自体に問題アルんだけどね。

次に、垂れ下げってくる測定ゲージ部分は、
アームとの接触部分の抵抗を上げるために、アームにゴムの板を巻き付け、太くする。
これで垂れ下がりを防ぐ。

激安振れ取り台
測定ゲージの接合部分は、こんな状態で固定されている。全く動かないってのも問題だが、これで固定状態を保持できるワケない。販売する前に気づかんか、フツー。
使用した0.5 mm 厚、幅 50 mmのゴム板。幾らだっけ?
ビニールテープを巻きつけるのもアリかなと思ったが、径の厚さを均等にするのはコイツが最適解。
激安振れ取り台、測定ゲージの取り付け
測定ゲージの取り付けの際は、可能な限り本体中央に位置するよう測って取り付け。つっても、どこにも精度がでていないので気休めでしかないのだが…。

これで測定ゲージが不用意にズレることはない。

準備は整った。
あとは、実際振れ取りを行って確かめてみることに。

できない?・いいえ!・やれますとも!
これぞ DIY の精神。


それでも使い方には注意が必要

結論から先に言うと、「使えないこともない」。
以下の点に注意すれば、確実に1mm 以内には振れを押さえられる。

注意する点はこの4つ。

  1. ホイールはしっかり装着する
  2. リムセンターゲージ絶対必須
  3. ホイールを廻す時はソッと廻す
  4. スポークテンションゲージがあれば、精度は上がる

ホイールはしっかり装着する

この台にホイールを載せる時は、必ずクイックリリースをしっかり締め付け固定する。
コレでハブがガッチリ固定されていれば、大丈夫。

リムセンターゲージ絶対必須

リムセンターを測らずにコイツを使おうものなら、間違いなくタイヤはセンターからずれる。
センターのズレたホイールなんて、振れがでているよりヤベーし。

MINOURA ホイールセンターゲージ FCG-310
ミノウラのリムセンターゲージ。華奢な作りでイマイチ使い勝手が良くないが、激安振れ取り台よりは信頼できるwwww

タテ振れゲージには目盛があるが、
ま、こんな目盛より、人間の感覚の方が絶対鋭いので、1mm以下に振れ幅を押さえることはできる。
そもそもコイツのゲージが片がっているから当てにはならんのだが。 www

だからこそ、左右の振れが取れたらリムセンターの測定が必須になる。
リムセンターゲージの使い方は、コチラの記事  →

どうしてもリムセンターゲージが用意できないならば、
ホイールを左右逆に装着し直し誤差を確認することで、センターを探り出すこともできる。
ん〜、何度もひっくり返して調べるのって、マジ面倒くさいけど、しょーがない。

この写真じゃちょっと分かりにくいが、設置したリムに対し、垂直に当たらない「タテ振れ測定ゲージ」。

ホイールを廻す時はソッと廻すこと

振れがでているホイールを力強く廻そうものなら、
振れ取り台ごと激しく暴れ出すのは必至。
各種ゲージもズレだすし、ハブ軸の固定までもズレる危険がある。

椿の花を愛でるがごとく、優しくソッと廻してあげる。
って、そんな美しい話じゃないよな、これ。

スポークテンションゲージは持っておいた方がいい

これは、この振れ取り台に限ったことではないが、
中華製の安物でいいから、持っていた方がいい。

正確な張力度を計測するというよりは、
すべてのスポークが均一な張力になっているか調べるためである。
ニップルの締め込み具合やスポークを弾いた音で、張力わかる程職人じゃないし。

用途はあくまで目安。
数値による適正な張力度を求めるなら、測定値が適正か校正しなきゃいけないし、
測定値換算表も怪し〜ので確かめねばならない。

そこまで厳密に考えなくても、
均一な張力に合わせられれば、ホイールの振れの原因が
スポークの歪みなのか、ニップルの歪みなのか、確実に探ることができるので、
コレで良しとする。 

スポークテンションメーター
コイツもAmazonのタイムセールでゲット。ただし、正確な測定値が欲しいからといって、ブランド品や高級品を選ぶ必要など無い。結局は測定値の検証、校正をしないと意味ないし。

最後に、これは「買い」なのか?

ここまで重箱の隅を突くがごとく、小姑またはキモっ玉の小さな上司よろしく、
長々と小言を書いてきた訳だが、振れ取りの理屈さえ理解していれば、コイツだって十分使える。
Amazonのレビューでも、0.3mm の振れに押さえたという強者もいるし。(すげーな、おい)

だが、コイツに 5,0000 円の価値があるか、と聞かれれば、
ボクには「無い」と断言できる。
3,0000 円程度であるなら許せる、対費用効果がある、ってシロモノ。

だって、5,0000 円もあれば、自作できるし、強度も精度も出せる。
実際「振れ取り台 DIY」でググれば、いっぱい見つかるし、
なにより完成した時の完成度はもちろん、満足度も高いと思う。

それに、振れ取り台を買わないと振れ取りできないってワケじゃ無いしね。
単純に振れ取りに挑戦したいのならば、
ニップルレンチとスポークテンションゲージを買って、
自転車逆さまにして振れ取りすればいいだけ。

唯一、コイツに満足したことを挙げるとするなら、
「コタツに入って、振れ取りができたこと」
コレに尽きるかも wwwww

激安振れ取り台

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