CENTURION BACKFIRE PRO 400.27 をオーバーホールする!序章

センチュリオン バックファイア プロ 400.27。
友人 A 氏の愛車であるこの 2015 モデルのコイツを
ボクがオーバーホールすることになった。

コトの始まりは、友人 A 氏を初めて「もくぞうこマウンテンバイクパーク」に誘った時のこと。
いつものように一通り飛んだり、跳ねたりした後、
折角の機会なので、最後はお互いのバイク交換してみないか、ってことに。
その時、事件が起きた。

一番速度が乗る下りの右バンクコーナーを通過した時に、強烈な異変を感じた。
どんなバイクでもコーナーの立ち上がりはサスは伸びるモノだが、
明らかにワンテンポ、いやツーテンポぐらい遅れてフロントサスが戻るのだ。

ソッコーでバイクを降りると、
フロントサスのインナーチューブには大量の真っ黒な黒い油が付着していた。
サスは、SR SUNTOUR の XCR-AIR。
明らかにオイルシールからオイルが漏れている症状なのだが、
コイツって、エアサスじゃなかったけ? 
つまり、漏れ出ているのはグリスってことだ。

ってことは、
サスがフルボトムしても戻らず、後から伸びきった勢いでグリスが溢れでたってことになる。

SR SUNTOUR XCR-AIR
吹き出したオイルは既に拭き取られていたため当時の惨状を見せられないが、インナーチューブに見て取れる多層のキズがサスのオイル不足を物語っている。

フツーに街乗りするなら、こんなサスでもなんとか乗れるだろうが、
パークで遊ぶには、危険過ぎる。

サスがフルボトムすれば、当然キャスター角は大きくなる。
ハンドリングは通常よりも内側に入ろうとするし、
その上、重心も過剰に前輪へと移ることに。
そんな状態のままコーナーに入れば… 
考えただけで、まじ、やべーし。

ボクが壊した訳じゃない(んだけど…壊してないよね、ね、ね)
とはいえ、安全性の問題と少々の責任を感じ、
友人 A 氏には、サスのオーバーホールを勧めた。

勧めておきながら、拭いきれない一抹の不安がボクにはあった。


ボクが修理することに至るまで

不安はまさに的中した。

友人 A 氏は、購入した サイクルベースあさひ 杜の里店で、
「専用工具もないのでウチでは修理できない」
「パーツの取り寄せも出来ない」
といったような返答をもらったそうだ。

ボク自身もなんとなくイヤな予感はしていたので、
いろいろ調べてみたところ、出来ない理由がわかった。

今から7年前の2015年当時、CENTURION は、確かにサイクルベースあさひで取り扱っていた。
しかし今では、日本のディーラーは株式会社マルイに変わっており、
販売店にサイクルベースあさひの名は無い。
(以前はライトウェイ プロダクツ ジャパンだったような記憶が…)

問題のサスペンション SR SUNTOUR に至っては、
日本ではエスアールサンツアー ジャパンとライトウェイ プロダクツ ジャパンが販売代理店として
商品を卸しているが、修理ができる正規特約店なるものを見つけることができなかった。

つまりこういうことだ。
壊れたのはあくまでサスであり、SR SUNTOUR の修理保証ができる取扱店でなければ、
修理は受け付けないし、補修パーツすら手に入れられない。
例えサイクルベースあさひが、今だに CENTURION を扱う店であったとしても、だ。
サイクルベースあさひが悪い訳では、決して無い。

だが、A 氏にとって、こんな状況は決して納得できるモノではないらしい。
気持ちは分からなくもないが、
メーカーであり、ディーラーでもある車やバイクとは違い、
スポーツ自転車はそもそもがパーツの寄せ集め。
フレームメーカー(ビルダー)がディレーラーやホイールなど保証できないし、しない。
逆もまたしかり。
ショップで完成車を購入した時、説明書が何部(冊?)もあるのは、こういうことだ。

どこかで直してもらうにも、直せるショップを探さねばならない。
新しくサスを買うのが最も手っ取り早いが、予算如何ではダウングレードになるのは必至。
ボクが直すにしても、部品を手に入れなければならない。

SR SUNTOUR XCR-AIR
この写真では分かりにくいが、SR SUNTOUR の クラウン裏側には、シリアル番号が必ず記載されている。(ま、分からないように撮影したんだけどね)
本国サイトでシリアル番号を入力すれば、その仕様、分解図、製造年まで判明できる。

これらのことを踏まえ、A 氏との話し合いの結果、
部品代と幾ばくかの手間賃をいただくことで、ボクが修理することとになった。

この結果に至ったのは、SR SUNTOUR の本国サイトでは
サス本体にあるシリアル番号を入力すれば、仕様書も部品図も入手できること。
幸いにも、ボク自身が SR SUNTOUR EPIXON を購入した経緯で、専用工具を持っていること。
なによりも、XCR-AIR の補修パーツが「なぜか」AliExpress で売られているのを発見したのが大きい。

なぜ、ヤルのかって?
決っているさ、ブログのネタになるからさ。 wwwwww
ま、自分のバイクは現状イジるところがなくって、寂しいというが本音だったりして。


CENTURION BACKFIRE PRO 400.27 って、こんなバイク

取りかかる前に、このセンチュリオン バックファイア プロ 400.27 が
どんなバイクか調べたワケだが、なにやらオモロイコトが判明。

BACKFIRE PRO 400.27 カタログスペック

なんとカタログスペックと実際に装着されているモノが違うのだ。

2015年度 カタログ記載の内容現状装着されている仕様
FRAMEバックファイヤー プロD 27.5″
6061 バテッドアルミフレーム、
ゼロスタック テーパーヘッド、
BBシェル幅73mm、チェーンライン50㎜、
リプレイサブル リアメカハンガー
FRONT FORKSR SUNTOUR ライドン XC
SF14-RAIDON-XC-RL-R、
100mmトラベル、
リモートロックアウト付
SR SUNTOUR XCR-Air
SF14-XCR-AIR-DS-RL-R 27.5 TS 255/0
REAR SHOX
F/HUBSHIMANO HB-RM33、Q/R、32H、
センターロック ローターマウント
R/HUBSHIMANO FH-RM33、Q/R、32H、
センターロック ローターマウント
SPOKE14G ステンレス
TIRESCHWALBE スマートサム、
27.5″x2.1″、仏式バルブ
RIMALEX MPD-14
BOTTOM BRACKETSHIMANO BB-ES25C、オクタリンク、
軸長 113mm
SHIMANO SM-BB52 BSA
CRANKSETSHIMANO FC-M430、44/32/22T、170mm、チェーンガード付SHIMANO FC-M622
CHAINKMC Z99
PEDALVP VP-992A
HEADSETVP A68P
HANDLE BARPROCRAFT ライザー OS、
660mm幅(36、41cm) 710mm幅(46cm)、
22㎜ライズ、バックスウィープ9°
STEMPROCRAFT AL OS、17°ライズ、
バークランプ径31.8mm、突き出し 70mm(36cm) 80mm(41cm) 90mm(46cm)
BRAKESHIMANO BR-M355 ハイドロディスク、180mm(F)/160mm(R)ローター
BRAKE LEVERSHIMANO BL-M355
FRONT DERAILLEURSHIMANO アセラ、
FD-M390-6、34.9mm
SHIMANO デオーレ、
FD-M612 UMWERFER 3×10-fach 34,9mm FRONT PULL SIDE SWING HIGH CLAMP
REAR DERAILLEURSHIMANO デオーレ、
RD-M592-SGS
SHIFTERSHIMANO アリビオ、
SL-M4000
SHIMANO SL-M591 
REAR SPROCKETSHIMANO CS-HG200-9、
11-34T、9スピード
SHIMANO CS-HG500-10、
11-34T、10スピード
SADDLEPROCRAFT スポーツ (VL-2039)
SEAT POSTPROCRAFT SP-620、27.2mm
OTHERSシートクランプ31.8㎜、
コラムスペーサー10mmx1 5mmx2
WEIGHT13.0kg(46cm)

なんと、サスがグレードダウンしている。(多分ヘッドパーツも変更されている)

その代わり、クランクがグレードアップし、
フロントディレーラー、リアディレーラーが、9速から10速に変更されている 。

これを A 氏に伝えたところ
「それ、調べた結果、間違ってんじゃない?」と言われたが、
フレームのカラーリングは、間違いなく2015 年版の 400.27。

では、なぜこのようなことが発生したのか。
考えられる理由としては、当時まだ知名度も低かった CENTURION をテコ入れするために、
当時販売をしていた サイクルベースあさひ が仕様を変更したのだろうと読んでいる。
大型チェーン店の強みを生かして、店単体ではなく、企業全体で行ったのだろう。
中古で出回っている BACKFIRE PRO 400.27 も大方このスペックになっている。

SR SUNTOUR XCR-AIR
フロントサスのステッカーちょっと破れていたので、メーカーサイトに在庫がある確認したところ、予想通りというか「無い」との簡素な返事が。当時の製品カタログに記載と明らかに違うこのステッカー。この辺も、ディーラー仕様だったりすのかも。

このコトに起因しているかはわからないが、
この2016年のあたりから、サイクルベースあさひ は、
MERIDA と一緒に CENTURION を取り扱いを止めている。
株式会社マルイが CENTURION の正規代理店になったのはこの頃ではないか?と思っている。
確実な文献がないので推察の域をでないのだが。

誰か知ってたら教えて!

CENTURION の歴史

で、先ほどからなぜ MERIDA が話にでてくるかって〜と、
CENTURION の歴史に、MERIDA が深く関わっているからである。

1976 年創業の CENTURION は、
1996 年発表された、CENTURION 初のフルサス「ノー・ポゴ」など、
フレーム品質の高さで、ヨーロッパを中心に高い評判を得ていた。

日本で CENTURION が普及するのは、2000年以降。
CENTURION と MERIDA は技術のみならず、販売体制も提携する関係になった頃、
CENTURION 本社のあるドイツに、開発拠点となる合弁会社を立ち上げている。

台湾の MERIDAとドイツの CENTURION。
ロードも、MTBも、同じフレームで、カラーリングが違うってのは有名な話。
2022年の今では、2社それぞれ別の代理店へと変わり、
ラインナップも販売方法も異なっているコトを考えると、
もう提携してなさそうな感じもするが、どうなんだろ? 知らんけど。

CENTURION BACKFIRE PRO 400.27
ヘッド部分から緩やかなカーブを描く扁平したトップチューブが、ハイドロフォーミング技術による成型を物語る。しかもヘッドパーツを変えればテーパードコラムにも対応できるようヘッドは大型化されている。2015年当時の最先端仕様だが、今でも通用する構造とデザイン。やるな!CENTURION !!

修理計画はこうだ!

仕事でも何でも、「段取り八割」って言葉があるように、
事前の準備と段取りが、作業の精度と効率化を上げるのは間違いない。

問題のあるフロントサス修理が大前提ではあるのだが、
ディレーラーやチェーンはかなり汚れている。
長い間メンテしてない、って云ってたし。

ま、どうせハンドル外すことになるし、
チェーンやワイアーの交換、ブレーキのメンテも必要だから、
すべての部品外して洗浄してしまった方が、手っ取り早い。

ということで、以下の流れで作業を進める。

  1. 前後ディレーラーを外して洗浄
  2. チェーン、スプロケの洗浄
  3. ハブのグリスアップ
  4. 車体のワックス掛け
  5. サスの分解修理およびヘッドパーツのグリスアップ
  6. 油圧ブレーキの点検、洗浄

あれっ、こんな大がかりなハナシだっけ?wwww

いくら疑念が沸こうが、結局いつかはやらねばならないし、
やっておかないと、必ず不調の原因になる。
精神的にも「風呂に入って頭洗わない」みたいな感じで、なんかイヤ。
超音波洗浄機だって、このために買ったようなモンだしね。

SHIMANO デオーレ、FD-M612 UMWERFER
ハイクランプ、フロント引き、サイドスイングのSHIMANO デオーレFD-M612。フルサスにフロント変速がまだあった頃の製品とはいえ、今じゃこんな製品、見ないよね。ちょっと貴重かも。
SHIMANO デオーレ、RD-M592-SGS
チェーンスタビライザーがない最後のSHIMANO デオーレ、RD-M592-SGS。シングルテンションなので、昔の Bテンションがあった時代と比べて、チェーンの長さやセッティングなど何かと面倒になる。そもそもコイツって9速用じゃなかったけ?
はいっ、アウト〜っ!の完全に伸びきったチェーン。汚れ以前に変速性能が格段に悪くなる。絶対交換です!!

季節はいま、冬のど真ん中。
どうせ自転車の乗れない時期が続くのだからと、
納期の確約無しの了解をA 氏からいただく。

サスのダストシールを注文してから、3週間。
やっと手元に届いたところで、こうして車体を受け取ることに。
準備は整った。さぁ、メンテのはじまりだ!!

つづく


よければフォロー、お願いします!

最新の情報をお伝えします

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です