油圧ブレーキの交換 3/3

前回記事からの続き

ブリーディングにはいくつか方法がある。

シマノのマニュアルに従う方法だと注射器が必要になる。
エアが混入しにくい方法とされているが、そんなことはない。
注射器の扱いがテキトーだと、思いっきり気泡を注入してしまう。
それどころか、状況次第ではワザと気泡を注入してるんじゃないかと。wwww

よって、シマノの推奨方法とは違う手法を提案したい。


キャリパーは自転車本体に取り付け、
ブレーキレバーは出来るだけ高いとこに設置

ブレーキレバーは自転車本体のハンドルに直接取り付けても良いのだが、

  • 可能な限り、高い位置にすることで気泡が抜き易くなる。
  • フルードが溢れても、自転車本体に被害が及ばない

という2つのメリットがある。

ボクはメンテナンススタンドにいらなくなったハンドルを取り付け、そこにレバーを装着して作業している。
グリコール系のフルードを使ってた時からの習慣。だってフルードこぼれたら大変だもん。

ブリーディング準備
メンテナンススタンドに取り付けたブレーキレバー。
握りっぱなしの状態が必要になるために、取り外し自在の結束バンドを装着。

キャリパーに関しては、自転車本体に装着せず作業をする方法もある。

フルードがこぼれる不慮の事態に対してパッドを守るための事前策なのだが、
不要なキャリパー動作を抑えるブリーディングスペーサーをかます必要がある。

メンドくさいのでボクは本体にそのまま装着。
もちろん、ブレーキパッドはこの時点で装着しておくことが前提。


ブレーキレバーにあるブリードねじとOリングを取外し、
ファンネルを差し込む。

Shimano Deore XT BL-M8000 

Shimano Deore XT BL-M8000 のアップ。

XT の文字右にある、盛り上がっているネジがブリードネジ。
2.5mm アーレンキーでボルトを外すと、Oリングが中にある。これも外す。
小さい上に、中に残っていたり、ポロっと外に落っこちたりと、とにかく無くしやすいので気をつけてね。

Oリングまで外したら、ファンネルを取り付ける。
ファンネルの説明(?)は前回したので、もうしない。


キャリパーにあるブリードボスのキャップを外し、
リザーバー用のホースを取り付ける。

ブリードボスのキャップ
ロゴの左上にあるプラスチックのキャップを外すとブリードボスが中にある。

ホースの先からはフルードが排出されるので、廃油の受けとなるものを用意すること。

受けにはビニール袋でも、ペットボトルでも構わない、要は中身が見えること。作業効率優先で。
それもミネラル系だからできること。

空き缶はお勧めしない。
中身入っていることを忘れ、不用意に持って液こぼしてしまったり、間違って飲みそうになったことがある。
ばかだな〜と思われるかもしれないが、意外にある事故。マジやばすぎ。


ファンネルにフルードを八分目まで注ぎ、
ブレーキレバーを握ったまま固定する。

輪ゴムやベルクロが便利。
なければ紐、結束バンドなどで代用し、固定状態にすると良い。

オイルファンネル
この状態をキープしたいので、輪ゴムとかベルクロなんかで固定する。

キャリパーにあるブリードニップルを、1/8回転緩める。

オイルファンネルにフルードがなくならないように気を配りながら、
リザーバーホースにフルードが出てくるまでしばらく待つ。
この時、ブレーキレバーは触らない。そのまま、そのまま。

BR-MT200のブリーディング
今だ!ニップルを閉めろ!
ちなみに BR-MT200 のブリードニップルは 3mm のヘキサ。

ファンネルにフルードを足して、
ブレーキレバーを当たり出るまで何度か握る。

何度か握ると気泡が出てくるので、気泡が出なくなるまで繰り返す。
その内、レバーのアタリがでて堅くなる。堅くなれば正常。

堅くならないならば、ファンネルにフルードを足して、再度ブリードニップルを緩める。
リザーバーホースからフルードが出てきたら、ブリードニップルを閉めて、レバーをにぎにぎ。


キャリパーを固定しているボルトを緩め、
パッドがローターに正しく当たるようにする

ここまできたら、ブレーキレバーを自転車本体に装着し、ブレーキパッドの当たり具合を調整する。

BR-MT200 は一番低いグレードにも関わらず、ワンウェイ ブリーディング機構を備えている。
この機構はブリーディングを効率的に行えるだけでなく、バッドの位置調整をも容易にしている。
この機構があるなら XT グレードのレバーだって装着できる、とボクは踏んだんだけどね。

話をブレーキパッドの当たり具合の調整に戻す。

ディスクローターとパッドのクリアランスには、センタリングアダプターを使う。
ローターとパッドのクリアランスが一発で位置出しができる優れもの。

センタリングアダプター
ディスクローター センタリングアダプター

使い方はこうだ。
ディスクローターこの工具を差し込み、仮止めしたキャリパーの隙間に収めるようにする。

あくまで「仮止め」。
手で触っても動くくらい緩めの状態であること。
その状態でブレーキレバーを力強く握りしめ、ここでキャリパーをしっかり固定する。

ただ、この工具。
壊れやすいので、保管にも気を遣うナイーブなヤツ。
しかも、160mm 以上のローターサイズには使えない、融通の効かない頑なヤツ。

センタリングアダプター
厚さは 0.5mm。シャープペンの芯程度。
曲ったら最後、使いモンにならない。

そのため、コイツを使わずに目視だけで位置調整する強者もいるようだが、
老眼のボクには絶対無理。必須アイテム。
1回壊したけど、買い直しているし。

まあ、年に何回も使うとは思えないものに、千円程度の価値があるかどうかはアナタ次第。


最後に

これで、ホイールを回してもローターとパッドの接触音がしなければ、試走をする。

ホイールに荷重がかかっても、正しく制動し、なおかつローターとパッドの接触音がしなければ完成。

今回の BR-MT200 と BL-M8000 の組み合わせは成功だと思ってる。
以前試していたので大丈夫と思ってはいたが、今回のことで確信が持てた。
また、ホースの性能差を確認できたことも意義は大きかった。

長々と3回にも分けて書いてきたワケだが、
これを読んで、ブリーディングにチャレンジする方が増えてくれるといいな。
やってみると簡単であることに気づくはず。

特に、フルードがミネラル系だからってのが最大の要因。
グリコール系のフルードだと、こぼさないことに細心の注意が必要だから、
ストレスも段取りも半端ないこと思うと、本当に簡単にできる。

違うメーカーも試してみたい。
同じミネラル系ならば、マグラか、それともフォーミュラか。
うむむ、悩むな〜って、物欲が尽きないぞ。

そもそも、次にブレーキを買う事態があっては困るのだが。


今回の製作費(税込)

今回使用した工具

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